塗装の目的・時期

基礎知識について

基本的な建物の部位の呼び方についてご説明致します。

基本的な建物の部位

軒天、軒裏

壁面よりも外に屋根が飛び出ている部分の裏側を軒天(軒裏)と呼びます。

窓の上に雨除けとして突き出ている部位を庇と言います。
基本的な建物の部位

破風

屋根の下にある役物で、切妻面側を破風と呼びます。

鼻隠し

同じく破風ですが、雨樋の下にある部分を鼻隠しと分けて呼びます。

胴差し(幕板)

建物の1階と2階を見切るような化粧役物を胴差し、または幕板と呼びます。

雨樋

屋根から切れた雨水を流す管。

基礎

建物の土台となるコンクリート部分。

妻換気ガラリ

建物の通気としての役目をしている部分のカバー。屋根が写真のように切れているタイプを切妻屋根と呼び、そういう部分にあるガラリなので、妻ガラリと呼んだりします。また、同じような場所に換気としてではなく、ただの飾りとしてつけている物は、妻飾りと呼んだりします。
基本的な建物の部位

目地

目地とは建物の窪みの事になります。この部分に建物の揺れなどによる不可が加わり易くする為に設けられています。よって、こういった部分に割れが起こる事は建物にとって、必然的な事で一番痛み易い部位と言えます。よって、シーリング材のような柔らかい素材で保護する必要があります。

用語解説

作業の用語

基本的な作業名称 説明
足場 塗装工事では基本的に、建物まわりに足場を組んでから作業を行います。
足場は、作業性や安全性、近隣への配慮の為に必要です。
飛散防止シート 足場を組み立てた後、足場に覆うシートの事を指します。
飛散防止シートは、場合により2重に被せる事もあります。
洗浄を行う際の飛散を抑えるだけでなく、手塗りでも飛散するので、それを抑える為に必要となります。
高圧水洗浄 塗り替えの際は、既存の汚れや脆弱な塗膜を除去する為に、高圧水洗浄を行います。
密着性を向上させる為に必要な作業でもありますが、洗浄で脆弱な面が明らかになる事もあります。
塗装屋の使用する高圧洗浄機は150気圧は出せる物を使用するのが、基本だと思います。
下地処理 建物を塗装する前に、劣化部位の修繕を行う作業。
シーリング材で目地を埋める作業、モルタル材で欠損を補修、亀裂処理、模様合わせ、剥離処理など、建物によって作業内容は大きく違ってきます。
シーリング打ち替え 既存のシーリング材を剥がして、新たなシーリングを打ち込む作業。
シーリング増し打ち 既存のシーリング部位を剥がさず、その上からシーリングを打ち込む作業。
打ち増しは、シーリングの厚みを付けれる打ち代がある事が前提の作業になります。
付帯部位 外壁や屋根以外に付属する部位です。
主に、雨樋・鉄部(庇・水切等)・木部・雨戸・胴差・破風(鼻隠し)など
養生 建物のあらゆる非塗装面をビニール等で保護する作業になります。
養生は塗装しない部位を覆うだけではなく、塗装したての壁が、万が一でも雨が降ってきて、流れたりするのを防ぐ為に、雨養生といって、建物から足場まではね出すようにビニールの傘を作る事もあるので、あらゆるシーンで行う作業です。

塗装の用語

基本的な使用材料 説明
シーラー
(プライマー)
外壁や屋根に、一番最初に塗布する基本的な下塗り材です。
密着性を向上させる為の下塗り材の事で、塗布する事で素材の吸込みを抑える効果があります。
基本的には、透明な液体状の材料ですが、色んな種類のシーラーがあります。
フィラー 又は サーフ
(サーフェーサー)
フィラーとは、シーラーよりも肉持ち(目止め効果)のある、膜として残る下塗り材です。シーラーレス機能を持ったフィラーもある為、シーラー無しでフィラーから塗れる場合もあります。
よく使用するフィラーは、微弾性フィラーになりますが、他にも硬質系フィラー、弾性フィラー、セメントフィラーなど、様々であります。
シーリング材
(コーキング)

近代住宅には欠かせないのが、シーリング材です。

シーリングとは、カートリッジなどに入っている粘性のある材料で、時間が経過するとゴムのようになる材料です。
基本的なシーリング材は、アクリルシーリング・ウレタンシーリング・変性シリコンシーリング・シリコンシーリングの4種類です。塗装で使用するのは、ウレタンか変性シリコンが基本です。

シリコンシーリングは、その上に塗料が乗らないので、塗装面に使用するには基本的にNGなシーリングになります。
ちょっとした隙間や、建物の力が加わる部位(目地)には、シーリング材を使用するのが現在の主流であり、防水効果はありますが、それだけで万全と呼べるものではありません。

シーリングにも水性タイプ・溶剤タイプがあります。
1液型・2液型があります。また、塗装工事ではノンブリードタイプという汚れにくいシーリング材を使用するのが基本です。
低モジュラス(低反発)・高モジュラス(高反発)のシーリングがあり、基本は低モジュラスタイプを使用するのが基本です。

パテ処理 軒裏とか部屋内など、素材の釘痕や凹みに詰める材料をパテと呼びます。パテにも様々な種類があります。
タイルベース タイルベースも、フィラーのように白い材料ですが、主に吹付時に模様付け(厚付け)する時に使用する下地調整材をタイルベースと呼びます。硬質タイプと弾性タイプがあります。
トップコート
(仕上げ材)
最終的に仕上がりとなる塗料を言います。
塗料の耐久性を左右するアクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機といった幅広い樹脂の中から選択する事になります。

塗装工事の用語

塗装でよく使用する用語 説明
ブリードについて

シーリング材には、ブリードという汚れを抑制するために、塗装屋はノンブリードタイプのシーリング材を使用するのが基本です。それでも、ブリードは防げるとは言い切れません。

ブリードとは、シーリング材に含まれる可塑剤が後に浮き出てきて、そこに粘性が増し、そこに汚れが付いて汚染され、シーリング部位が黒ずんでくる現象を言います。

2面接着

サイディングの壁目地(凹部)にはシーリングが充填されていますが、その凹部にシーリングを充填する時に、シーリング材を密着させる面は、凹の両サイドの2面のみに密着させる事を、2面接着と呼びます。

2面接着の仕組みは、凹の奥面に、シーリングがくっつかないよう、ボンドブレーカーというテープを貼る場合と、バックアップ材と言う発泡スチロール状の素材を入れる場合の2パターンがあり、それにより2面接着が成り立ちます。

密着面が2方向であれば、シーリング材が受ける力は左右のみとなるので、シーリングが剝がれにくくなります。逆に、3面で密着させると、力が3方向に引っ張られるので、2面よりも剥がれ易くなります。

モルタルやコンクリートの目地に打つ場合に、2面接着は不可ですし、そんな事は必要ありませんが、サイディングや、ALCでは2面接着が基本となります。

単層弾性塗材

一時期爆発的に人気だった材料で、今でもアクリル系・シリコン系の単層弾性塗材が残っていますが、色々と問題を引き起こし易い要因を作るので、これを塗られていたりする現場は、用心が必要です。

言ってしまえば、塗料メーカーの負の遺産的な材料。

下地調整材としての機能とトップコートの機能を併せ持った一石二鳥の安価な弾性塗料ですが、塗り替え時にそれが要因となり、膨れの原因を招く恐れがあるので、現在塗装屋が積極的に使用する事はほぼ無いと言えます。
よく、工務店や元請けの会社が、安価なので勧めてくる事がある。

縁切り

屋根を塗ると、重なり目の隙間が埋まる事があり、そこを切って開く事を縁切りと呼びます。

それをするのが困難なので、最近ではタスペーサーという、プラスチック素材の道具を指すのが主流になってきています。
みに、タスペーサーは一度取り付けたら、それっきりで取り外すわけではありません。

希釈

塗料は基本的に希釈して使用する材料です。
水性塗料は水で希釈、弱溶剤塗料は塗料用シンナーで希釈、強溶剤塗料は、ラッカーシンナーで希釈して、材料を使用します。

1液型塗料

塗料を開封し、希釈すれば使用できる塗料。
塗料缶(主材)1缶だけの塗料。

2液型塗料

塗料を開封し、硬化剤を入れて希釈すれば使用できる塗料。
塗料缶(主材)と硬化剤の2缶が1セットの塗料。

水性塗料に2液型塗料は少ないが、弱溶剤塗料の場合は、基本的に2液型塗料の方が性能が高い物が多い。また、エポキシ錆止め塗料でも、2液型塗料の方が錆止め効果は高いが、1液型エポキシ錆止めよりも塗りにくい物が多いので、美観的な事を言えば、1液型の方が綺麗に仕上がる事がある。

チリ

隅などの塗装のラインの通りの事でして、そういった通りが悪いと、「チリが悪い」という風に塗装屋は言います。そこにもう一手間入れてるかどうかの差が表れます。

エポキシとは

非常に付着力の高い樹脂で、紫外線には弱いと言われている。
建築塗装の錆止め塗料は、現在エポキシ錆止めが主流。
下塗り系の材料に、エポキシを含む塗材が多い。
エポキシ錆止めは、密着材としてや目止めの為にも使用される事が多い下塗り材でもあります。

防水工事

建物の屋上や、ベランダの床面に防水工事を行う場合は、FRP防水、ウレタン防水、シート防水、塩ビシート防水の4つが基本となります。

  • FRPは、強化プラスチック層の防水の為、硬い防水になります。
  • ウレタン防水は、ウレタン樹脂を流して形成する、ゴムのような柔らかい防水になります。
  • シート防水は、防水層にゴムシートを張って形成する防水です。破ければ、張り替えるしかありませんが、比較的安価な防水になります。
  • 塩ビシート防水は、塩ビシートを張って形成する防水です。ゴムシート防水の上位の防水になります。浮かし張りと、密着工法がある。

外壁の素材について

塗装不可な部位 又は 避けた方が良い素材について

ペンキは何にでも密着する万能な物ではありません。建築塗装で、一般的に塗装しない部位のご説明を致します。

銅板 まず塗装屋は銅板は基本的に塗装致しません。
銅板は本来、老朽化が遅い部位で、塗装は不要と言われてきましたが、最近は酸性雨の影響により、汚く見えてきて、塗装したいという方がいらっしゃいます。
ですが、銅板には確実に付着するプライマーとか、下塗り材はありません。
どうしても塗りたいという方には、エポキシという付着力の高い錆び止めを塗って、塗装するというパターンしかないのですが、確実に密着している保証はできないので、まず塗装しないに限ります。
ステンレス ステンレスも銅板同様に基本は塗装不可な素材です。
下塗り材によっては、付着するという物もございますが、それでも密着に関しては疑問があるので、塗装は避けた方が良いです。
アルミ アルミもステンレスと同様に、基本的に塗装が密着しない部位です。
ただ、エポキシ錆び止めなどの付着力の高い下塗り材を使用して、一部分的な塗装は当店でも経験ありますが、まず避けた方が良い部位です。
たまに、アルミサッシの枠は塗装しないの?と言われる方がいますが、アルミサッシの枠を塗装する塗装屋はいません。
そういう事を言われるお客様は、大抵アルミ錆を気にされて、そう言われる方が多く、アルミ錆を目立たせなくするような薬品系の材料はございますが、完全にそれを目立たせなくできる確証はありません。
シリコンシーリング 部位というわけではないのですが、シリコンシーリング(コーキング)の上には、直接塗料は付着しません。
シリコンシーリングの上に付着するというプライマーもありはしますが、それでもシリコンシーリングの上への密着というのは、難があり、非常に厄介な素材です。
例えば、シリコン塗料が汚れが付着しにくいというのも、シリコンシーリングと同じように、シリコン自体が何もくっつかないような性質の樹脂だからです。
完全にシリコンと言えるシリコンシーリングは耐久力は高いですが、後の事を考えると、色々難点があるので、塗装する事がある部位には、変性シリコンシーリングという、その上にも塗装を可能とするシーリングの方がお勧めと言えます。
陶器瓦 陶器瓦のように、素地がつるつるした上には、下塗り材が吸い込まないので、塗装不可と言えます。
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