塗装の目的・時期

水性と油性について

塗料には、水性塗料と油性(溶剤系)塗料があります。
それぞれに、塗膜や見た目の特徴がありますので、下記にて説明しています。主に3種類に分類されますが、塗り替えで使用するのは、主に水性と弱溶剤とお考え頂ければと思います。

水性塗料

水性塗料とは、水で希釈して使用できる塗料になります。
溶剤より、臭いがあまりしない事と、環境に対しても良いという特徴があります。

水性塗料のメリット

  • 施工中の臭いがほとんど気にならない。
  • 塗装面をピカピカに光らせたくない人や、艶が無い方が良いという方は、水性自体が溶剤よりも輝きが無いので、お勧めと言える。
  • 水で希釈することで使用できるので、使い勝手が非常に良い。
  • 塗料の種類が下塗り材~上塗り材まで、非常に多い。
  • 飛散力が極めて低い。
  • 紫外線による色褪せ感が起こる面と、そうでない面の落差が溶剤より分かりにくい。
  • 環境問題から水性に力を入れるのが主流になるので、特徴のある塗料は水性塗料に多い。
  • 塗料自体に、肉もち感があり、劣化しても塗膜が残り易い。
  • 物にもよりますが、耐久力は溶剤並みから、溶剤以上の材料もある。

水性塗料のデメリット

  • 光沢度では溶剤に劣るのもあり、同じ艶有なら溶剤の方が綺麗ではある。
  • 基本的に塗膜が柔らかいので、傷が付きやすいとも言える。
  • 塗膜の撥水効果は、塗料の性能にもよるが、溶剤に分がある。
  • 付帯部位への水性塗料は、まだまだ溶剤に追いついていない。

耐久力について

一昔前は、水性は溶剤に劣るという傾向があり、その影響で、今でも水性を外部に使いたがらない職人はいますが、現在では耐久力に差はありません。

但し、劣化の進行具合に、溶剤と水性では違いがあります。
水性は塗りたて時から右肩下がりで徐々に劣化していく傾向がありますが、溶剤は艶持ちが良い分、最初は劣化が分かりにくいですが、艶が無くなったのを境目に、劣化感が早くなります。

弱溶剤塗料

油性塗料には弱溶剤タイプと強溶剤タイプがあります。
弱溶剤塗料は、塗料用シンナーで希釈して使用できる塗料です。
塗り替えで、油性と言えば弱溶剤を使用するのが現在の主流と言えますが、歴史的に言えば、弱溶剤は3種類の中で一番浅いと言えます。

弱溶剤のメリット

  • 非常に艶持ちが良いので、超光沢をお求めなら弱溶剤をお勧めします。
  • 撥水性能が高く、表面がきれい。
  • 水性より密着が良いので、鉄部や塩ビ系素材にも適している。

弱溶剤のデメリット

  • 施工中に独特な臭いがする。
  • 環境的には、水性よりもお勧め度は低い。
  • 飛散力が最も高いので、手塗りでも十分な配慮が必要になる。
  • 艶が無くなると、白けた感が強く表れる。
  • 施工する観点で言えば、塗料の処理が水性よりも手間である。

耐久力について

水性の項目でもご説明した通り、耐久力という意味では水性も溶剤も差は無いと言えます。

溶剤塗料で耐久力を求めるなら、希釈してすぐ使用できる1液型よりも、現場で硬化剤を別に混ぜ合わせる2液型をお勧めします。

強溶剤塗料

油性塗料には強溶剤塗料という物もあります。
昔は弱溶剤塗料など無くて、油性と言えば強溶剤が当たり前でした。
s塗料用シンナーよりも溶解力の高いラッカーシンナーで希釈して使用する塗料となります。

強溶剤のメリット

  • 耐久力は高いが、塗り替えでは、前回の塗装を溶かしかねないので、現在で使われることは、ほぼ無いと言えます。
  • 強溶剤の下塗り材は、塗り替えでも使う場合がありますが、非常に付着力が高い。
  • 溶解力が高く、すぐに蒸発するので、飛散力は弱溶剤よりも低いと言える。

強溶剤のデメリット

  • とにかく臭いが強くキツイ。
  • 塗り替えに向いていない。
  • 環境に悪いので、非常にお勧めしにくい。
  • 窓廻りに染みた塗料を清掃する際に、密着力が高いので非常に時間が掛かる。
  • 塗料の種類は、3つの中で最も少ないと言える。

塗り替えで使用する塗料は、現在ではおもに、水性塗料か弱溶剤塗料の2択となります。基本的には、環境問題、お住まいの方への配慮から、水性塗料を使用する割合が多くなってきていますが、どちらにしても付帯部分の塗料には、弱溶剤塗料を使用する事になります。

どちらが良いか?は、お客様の求める優先順位が何か?という事から、当店では決めるようにしています。

水性と油性で値段差はあるの?

インターネット上には、「水性は安価で、弱溶剤の方が高価」という事を書いてあるページを見る事もありますが、そんな事はありません。全ては物によるという事です。

基本的に、水性でも弱溶剤でもグレードがあり、標準的な物は、水性も溶剤も同じような価格ですし、上級品でも、水性も溶剤も同じような価格の物があり、それがどの塗料メーカーでも大体そういう商品分けとなっています。塗料メーカーによっては、水性上級シリコンが、弱溶剤上級シリコンよりも高い事だってあります。

油性の方が耐久力が高いの?

油性の方が耐久力が強いの?という質問に関しましては、上でも申し上げた通り、水性でも油性でも、何の材料で比べるかによります。

例えば、A社塗料メーカーの弱溶剤1液シリコン塗料と、B社塗料メーカーの弱溶剤2液シリコン塗料があり、どちらも同じような値段です。普通に考えたら、値段変わらないなら弱溶剤2液が良いだろうと思う所ですが、A社の弱溶剤1液塗料の方が圧倒的に良い結果だったという例もあります。

別の例で、弱溶剤2液シリコンと水性1液シリコンで、どちらも値段差は無い上級塗料で比べたとします。

5年後

弱溶剤塗料は光沢や撥水力が良いので、5年くらいではあまり劣化を感じないと思う一方。水性は艶は以前よりも艶が落ちてきた感がある。

7年後

弱溶剤タイプの現場は日がよく当たる一面は全く艶が無くなり白けた感があるけど、その他の面はまだ艶が残っている。水性タイプは、全体的に艶は以前より落ちてるけど、色褪せ感はそれほどでもない。というような特徴も実体験としてあります。私の実感では、こうなると弱溶剤の方が、より劣化したという印象を受けます。

この例の逆もあります。艶が長持ちする弱溶剤塗料もありますし、水性塗料でもすぐ色褪せする材料もございます。全ては物次第というのは、こういう事であります。

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