塗装の目的・時期

塗装の目的

●美観の向上
●素材に対する保護機能の向上
●劣化部分の修繕
●建物全体のメンテナンスの為

塗り替えは、主に美観の向上が目的と思われるかもしれませんが、それ以上に大事なのは、塗り替えを行う事で、建物のメンテナンスに繋がるという事です。塗装工事とは、建物を塗るだけの仕事ではありません。
まず、足場を組みます。次に高圧で洗浄すると、目視では分からなかった劣化の発見にも繋がる事もあります。そして、下地処理という工程で劣化部分は修繕を行います。それから塗装を行っていく事で、より外壁や屋根などの保護機能を高めます。さらに美観向上のために、付帯部位の塗装も行ったりと・・・それらを全て行うのが塗装工事になります。
一般的な塗り替え時期は、10年に一度というのが理想中の理想ですが、それはなかなか難しい事ですので、せめて15年以内に一度、どんなに長くても20年以内に一度という感覚で良いと考えています。

年数で、塗り替えを判断されるのも大事ですが、塗り替え時期かどうか?はご自分でもある程度判断できます。その判断基準は、下記のような症状です。

建物に現れる主な劣化症状 (クリックすると画像が大きくなります。)

 チョーキング現象・色褪せ
 手で触れると、塗膜などが粉状になって付着する現象を、チョーキング現象と言います。チョーキング度合いも様々ですが、明らかに手で触ってべっとり塗膜が付着したり、または石材調の塗装では、骨材がザラザラして、密着が弱くなっていると、塗り替えのサインです。塗装面が経年劣化すると、チョーキングの兆候は徐々に見られ始めます。初期段階で少し手に付着し始めた程度なら、塗膜は生きていますので、そこまでシビアに考えられる必要はないです。誰が見てもチョーキングだと分かるようになると、塗膜は撥水効果を失っているので、機能していないのと同じと言えます。チョーキングは、サイディング外壁にも起こる現象です。基本的に、チョーキングが起こると、同時に色褪せも起こってきていると言えます。
 塗膜の浮き・膨れ
   塗膜が膨れたり・浮いてきたりする現象です。この現象は、壁の内部に水が回っている事が原因である事が多いです。壁内で、水分を含む要因があり、それが出ようとする際に、内側から塗膜を押すことで、膨れが起こります。膨れには水で膨れる場合だけではなく、熱膨れという要因で膨れる物もあれば、施工による何らかの影響で剥がれたりする場合もあります。
 コケなどの付着
 建物に苔やカビが付着したり、排気ガスなどで汚れるのは、立地環境や条件により避けられない物もあります。但し、塗膜による撥水性や機能性があれば、そのような汚れを起きにくくする事はできますが、永続的な対策は、塗装だけでは限界がありはします。
 建物の割れ・欠損・鉄筋膨張
 モルタルやコンクリートの建物では、ひび割れや欠損は、高い確率で起こっている物です。地上から見て特別に劣化が見られなくても、足場を掛けて見てみると、意外と割れが多いなんて事はよくあります。また、コンクリートの建物では、水が内部に回っている場合、鉄筋膨張を起こし、そこから外壁を押し出して、外壁が落ちそうな物もあったりするので、コンクリートこそメンテナンスが必要と言えます。
 シーリング材の劣化
   建物の外壁に、最初からシーリングを使用しているのは、サイディング外壁とALC外壁、コンクリート外壁になります。サイディングやALCでは外壁の目地は全てシーリング打ちですし、コンクリートの建物でも窓廻りにシーリングを使用されています。それらは塗装よりも早く痛みがちで、収縮し硬化していきますし、密着不良で剥がれている物もございます。塗り替え時では、モルタルの建物にもシーリングを打ちますので、近代住宅はシーリング無くして成り立っている建物はありません。日本住宅だけには基本的にシーリングは使われていません。
 サイディング壁の反り
 サイディング壁は、14ミリ幅タイプの窯業系サイディング(一般的なタイプ)、またはそれ以下の厚みのサイディングの物は、反りという現象が起きやすいです。因みにハイグレードタイプと呼ばれる、16ミリのサイディングでも反りは見られる事があります。この要因は、サイディング自体が水分を吸いやすくなる事に要因があると考えられます。主に、シーリングの目地部が機能しなくなると、サイディングの断面から水気を帯びだすと言われており、その影響はあると考えられます。
 サイディングの凍解爆裂
cimg1967  冬などで、結露が起こり、外壁の細部に水が残って、それが凍る事で体積が膨張し、また解けてを繰り返すことで、素材が劣化していくのを、凍解爆裂と呼ぶようです。窯業系サイディングに起こり易い現象と言えます。撥水性が低下した外壁で特に起こり易い劣化と考えられます。
 エフロレッセンス(白華現象)
 主にコンクリート部分に起こる症状で、白い粉状のものが亀裂部などを通り、出てくる症状です。セメントなどに含まれる成分が空気中の炭酸ガスなどと反応する事により起こったりする症状です。この症状は、建物に影響を及ぼすものではなく、美観的な症状です。

各部位の一般的な塗り替え年数

外壁・屋根 外壁と屋根が塗装できるタイプであるなら、基本的に外壁と屋根は同時に塗装するのが望ましいです。別々に行えば、工事ごとに足場を組む事になり、出費が無駄になります。理想は10年~15年に一度をお考えになるのが良いと考えられます。また、サイディングにクリヤー塗装をご希望されるなら、10年以内の方が良いと考えられますが、その際には外壁の詳細を確認しておく必要があると考えられます。
 鉄部  庇や瓦棒などの水が切れる面では、元の素材の状態にもよりますが、建物の塗り替え時期と同じ時期に塗り替えでも問題はありません。
ただ、雨ざらしの鉄や水が切れない鉄面は、5年目では塗り替えを検討した方が良いと言えます。
雨ざらしの部分で日光で乾燥するまで水が溜まり続けるような部分は、塗り替えてもすぐに薄らと錆が出始める場合があります。基本的に鉄部の塗装の際に、鉄が取り付けられている裏面までは塗装できないので、そういった面から錆が発生するので、そこまで防ぐ事は一般的な塗り替えでは不可と言えます。
 木部  状態にもよるが、材料を浸透させて、木目を生かすような塗装の場合は、5~6年と言われています。木部を塗膜で覆う場合は、場合によりそれ以上持つ可能性もありますが、後に剥がれる可能性はゼロでは無いので、木部には浸透型の保護塗料をお勧めします。
 雨樋  雨樋は、塗料により耐久性がアップするとは考えられない素材です。ですが、美観の為に塗装するのが一般的です。
 シーリング  シーリングに関しましては、シーリング材の打ち替えが基本になります。また、場合により打ち増しでも良いケースもございます。
サイディング目地のむき出しのシーリングに関しましては、打ち幅が広いほど、シーリングの持ちは良いと言い切れます。某ハウスメーカーの1cm幅はあるシーリングですと、15年くらい経過していても、打ち替えを勧めるかどうか、悩んだこともあります。
逆に、打ち幅が1cmも無いサイディングのシーリングに関しましては、日当たりが良い面では場合により、10年も持つのも厳しい場合もございます。実際に、住宅の新築時のシーリングは一番長持ちする条件が揃っているのに、1cm幅も無い建物の場合、10年後にシーリングが無傷の家を見つける方が難しいくらいです。
塗り替え時は、シーリングの打ち替えを行った後に塗膜を被せるので、それにより持ちは大きく違ってきます。それだと10年経ってもシーリングが機能性を維持している実績も当店は確認済みですが、どんな条件でも絶対に大丈夫とは言い切れない部分はあります。
 防水層  屋上やベランダの防水は、FRP防水やウレタン防水、シート系の防水が多いです。
きちんとした施工であるなら、裂けたり、割れたりしない限り、放置していても20年から、それ以上でも大丈夫な防水です。30年経過したシート防水でも漏れていない良好な劣化をしている物も見かけます。ですが、基本は全て10年に一度は保護コート(トップコート)を塗装するのがお勧めです。ウレタン防水やFRP防水には、元々トップコートを保護の為に塗られていますので、そうしている事で、防水層が割れない限り、防水機能は持続します。
シート系の防水は、元々、保護塗料は塗装していない物ですが、保護の為に、トップコートの塗装をお勧め致します。

塗り替えのご依頼を頂ければ、外壁や屋根だけでなく、上記のような付帯部位も塗装するのが一般的です。
外壁の塗装耐久力と比べると、木部や鉄部はそこまで持つ部位ではないので、そういう部位は先に塗装した方が良いでは?と思われるかもしれませんが、現実的に考えてそれは、足場も掛けないと施工できませんので、難しいと考えられます。とは言いましても、一度塗装を行っておくだけで、全く違ってきますし、塗装しても耐久年数が過ぎたら、すぐに付帯は壊れてしまうというような物ではありませんので、そこまでシビアに考えられる必要はなく、建物の塗り替え時期の10年から15年を目安に、全体的な塗り替えされれば良いと思います。

また、シーリングに関しましても、シーリングが切れると建物に水が入って腐るというような事を、神経質に考える方もいらっしゃるかと思いますが、最近のサイディングでは、シーリングの下にステンレスのプレートが入っている物が多く、少々の水で一気に劣化が進んで、構造まで影響するというような物ではありません。ただ、シーリングが切れたままで放置していると、サイディング壁の断面から、水を吸収しやすく、壁の変形は起こり易くなるとは考えられます。