屋根塗装(モニエル瓦)

ここでは、モニエル瓦(乾式洋瓦)という屋根の塗装工程についてになります。

モニエル瓦とは、このような屋根の事を言います。


これはかなり劣化した状態ですので、瓦のイメージが伝わりにくいと思います。一見セメント瓦に見えますが、実は違います。
次の画像は状態が良いモニエル瓦です。

こんな感じの瓦です。15年以上経過していて、かなり状態が良いモニエル瓦です。
モニエル瓦のお宅はかなり多いです。よく瓦にコケがついて、屋根が茶色く汚れて見える場合、ほとんどがモニエル瓦である可能性が高いです。もっと簡単な見分け方がありますので、ご紹介します。


このように、瓦の端がガタガタしているのが、モニエル瓦である証拠です。逆に、セメント瓦の場合は、端がツルッとしている特徴があります。
因みに、セメント瓦の塗装材料は、ほとんどの塗料メーカーにございますが、モニエル瓦の塗装材料は、どの塗料メーカーにもあるわけではなく、結構選択肢は狭いです。中には、モニエル瓦にセメント瓦を塗装する仕様で塗り替えすれば、後で剥がれてくる可能性がありますので、注意が必要です。

もっと簡単な見分け方は、瓦をひっくり返せば、MONIER(モニエル)って書いています。
塗装屋なので、瓦の事はあまり詳しくありませんが、モニエル瓦を出しているメーカーは、永大・スカンジア・クボタという3メーカーだったと思いますが、上の写真は、永大のモニエル瓦です。因みに、モニエル瓦のお宅は非常に多く、塗り替えされることがほとんどですが、モニエル瓦は廃盤商品となっていると聞いています。だから、割れた場合は瓦屋に在庫があれば差し替え可能ですが、無い場合は別の何かで補う必要があります。

(では、セメント瓦は・・・)
モニエル瓦の端がガタガタと言いましたが、セメント瓦の場合は、下の画像のようにツルッとしています。

また、瓦自体の厚みが違います。セメント瓦の方が薄いです。

ここまで回りくどい説明をしましたが、モニエル瓦は他に類を見ない程、瓦と瓦の被せが非常に深いので、それを見ればすぐセメント瓦とモニエル瓦の違いは一目瞭然というわけです。

(モニエル瓦はどういう瓦なの?)
モニエル瓦をざっくり説明しますと、瓦の基盤自体は、セメント系素材なのですが、その上に粘土質と言われるスラリー層があります。さらにその上に塗装面があり、新品のモニエル瓦は、塗装面に覆われているから綺麗に見えるわけです。しかし、一番上の塗膜層が劣化し、粘土質の層が剥き出しになった状態の時に、モニエル瓦はコケなどが非常に付着し易くなり、汚く見えてしまうわけです。それが下のような状態です。

これはスラリー層にコケが付着する事から起こっています。

次に、塗装工事の説明を行っていきます。
まずは、高圧水洗浄です。モニエル瓦の場合は特に念入りに洗浄が必要です。

塗装できる屋根の中で、最も念入りな洗浄が必要なのも特徴と言えます。
塗料メーカー曰く、上に見えるスラリー層(黒い部分)がなくなるまで洗浄するのが理想とむちゃくちゃな事を言いますが、瓦の状態が良好であればあるほど、剥がしきるのは不可能です。完全除去は余程劣化していない限り、まず不可と言えます。ただ、可能な限り洗浄で落した後、専用塗料で塗装すれば、問題はありません。
因みに洗浄すると、屋根の上に堆積していたコケやスラリー層が、とんでもなく下に落ちてきますので、その点はご了承ください。


上の現場では、理想的にスラリー層まで除去できましたが、30年近く経っていて、劣化がかなり進行していたからそれが可能でした。

こんな状態です。普通はこんなに綺麗に落とせない現場ばかりです。
ここまで除去できれば、「スラリー専用の材料じゃなくても、密着するわっ!!」と塗料メーカーに突っ込みを入れたくなります(^-^;

次に、モニエル瓦の注意点をご説明していきます。
まず洗浄が終わると、塗装に入る前に瓦の劣化や破損があれば、部分的な下地処理を行いますが、何もなければ塗装工程に入っていきます。
それとは別に、注意点とは瓦の隅棟に当たる部分についてです。

隅棟とは画像の黄色線の部分です。
こういう部分の裏側には、基本は、赤土の上に漆喰を被せている場合が多く、漆喰が崩れ、赤土がボロボロ落ちて崩れてくる現場があったりします。

過去で最も状態が悪かった時の現場ですが、こんな状態です。この現場では、赤土の上にモルタルを使用されていたようで、それが何か所も剥がれています。

瓦を取っていくと、中が完全崩壊しています。黄土色に見えるのが、赤土部分です。この赤土の上にモルタルで固めたような仕組みになっています。

多少ましな部分もありますが、この時は、この一列だけではなく、6か所くらいの隅棟がこんな状態でした。

こんな感じです。どうしようも無いので、左官屋に補修をお願いしました。

赤土を取っていきます。そして、近年はこのような状態にならないような物があるようで、それが次の画像で盛っている「なんばん」という材料です。

こういう物です。赤土に漆喰やモルタルを被せる必要性は無く、この「なんばん」を練って積み込むだけで良いそうなのです。最近の建物の隅棟は、こういう系統の材料になってるらしいです。

こういう作業です。

瓦を乗せていきます。どうやらこの現場では、瓦と瓦を被せる間隔にも問題があったようで、それも劣化の原因の一つではなかったのか?と思いました。この時の現場は、築15年超えたくらいの建物で、それでもこういった例がございます。築28年くらいの建物でも何もなっていない瓦もありますので、必ずこういった事があるわけではありませんが、モニエル瓦の際はこういう注意点が必要です。モニエル瓦に限った事ではありませんが、瓦の場合の隅棟がある建物では、こういう土台部分が痛んでいる例は年に何軒かございます。

大抵は、高圧洗浄を行った後に、実は漆喰の密着が悪くて、赤土部分が下の様に露わになり、それが複数ある場合は、左官屋さんに補修してもらいます。

下の写真のような防水効果のある漆喰系の材料を・・・・

小さいコテでちょっとずつ詰めていくわけです。

地味だけど、めちゃめちゃ時間が掛かり、簡単ではないです。

ほんのちょっとなら、自社で簡易補修はしたことあるけど、赤土部分があちこち見えるなら、左官屋さんにお願いせざるを得ないです。

補修後はこんな感じです。

隅棟の話はこのくらいにして、いよいよ塗装工程についてご説明していきます。

まずシーラー塗りです。因みに、モニエルの仕様で当店が知っているのは、水谷ペイントという塗料メーカーのスラリー強化プライマーを使用した塗り替えと、オリエンタル塗料という塗料メーカーの弱溶剤シリコン(マイティーシリコン)を塗る仕様、その他では、日本ペイントの瓦部門となるエーエスペイントのモニエル瓦専用の仕様が有名ですが、現在は他の塗料メーカーにも色々あるはずです。


右がスラリー強化プライマーという下塗り材で、左がこの度使用する仕上げ材の水系ナノシリコンです。どちらも水性の材料で、スラリー強化プライマーは2液型のエポキシ樹脂の下塗り材になります。このプライマーを使用した場合、仕上げ材は、水性の屋根塗料であるなら、どれでも問題無く塗れます。


では機械をセットし、飛散防止シートを2重にしたりと、現場周辺にも配慮して行います。


まずスラリー強化プライマーを吹いていきます。当店では基本的にモニエル瓦の場合は吹付けで行います。形が凸凹しているので、刷毛やローラーでグチュグチュに塗り潰すより、吹付の方が良いと考えています。

モニエル瓦は、このようにどっぷり流れるように「たっぷり塗って下さい」とありますので、こんな塗布量を吹付けで2回吹いていきます。また、これがどんどん雨樋に流れるので、当店では雨樋の中に新聞紙を敷いて、作業しています。

こういう風に、新聞紙でも詰めておかないと、雨樋の中でかたまりまくるんです。


上の画像は、別の現場です。足場もある程度高くないといけないですが、この時の現場の足場は低すぎて当店ではNGです。だから、苦労しました。というか、足場業界は単価競争の業者ばかりなので、なかなか「流石プロは違うわ~」と思わせてくれる足場は少ないわけです。足場は施工するにあたり、非常に重要なファクターなのであります。

スラリー強化プライマーは、モニエル瓦専用ですので、逆にセメント瓦にこのプライマーはNGなのです。しかも、このプライマーはスラリー層に効果的というもので、スラリー層までどうやっても到達しそうにないモニエル瓦の場合は、新しく開発された、弱溶剤のエポックマイルドシーラーの方が良いようです。但し、弱溶剤の場合は吹付が厳しいので、必然的に値段は高くなる可能性があります。


次に、仕上げ材の水系ナノシリコンを吹いていきます。仕上げは、2回吹きが常識です。
下塗り材のシーラーは、2回吹くと書きましたが、カタログ通りだと通常は1回ですが、吸い込みを考えると2回が理想で過去全て自主的にそうしてきました。

2回目の吹付時です。ひとつ前の画像も2回目ですけどね(^_^;)

吹付工法でも、端の方などは、刷毛塗りも部分的に行っていきます。


モニエル瓦の塗り替え完成後です。

マルーン色での塗り替え後

別の現場の塗り替え後の全体像!!

以上、モニエル瓦の塗り替えでした。