塗装方法を大きく分ければ、機械を使って吹き付ける方法と、ローラーと刷毛で塗っていく方法の2パターンがあると言えます。当店では、どちらも扱えますが下記にて特徴をご説明していきます。
吹付工法 | 吹付工法とは、機械を使って塗装する工法です。 吹き付けの機械も、1種類だけでなく、用途の応じ様々な機械があります。 よって、装備(機械)がないと施工できないので、手塗りよりも、吹き付けができる塗装店の方が、現在は圧倒的に少ないと言えます。技術的な事も、手塗り以上に要求されます。 (吹付の長所) ●塗装仕上げの種類は、手塗り工法よりも、吹付工法の方が幅広いです。 例えば、タイル吹き・タイル押さえ仕上げ・スキン・リシン・スタッコ・多彩模様仕上げ等です。 ●細かい部分の塗装の際に、手塗りでは時間は掛かるのに、きれいにならない事もあるが、吹き付けでは霧吹き状に飛ばすので、塗料が一定に入り易く、簡単にきれいに仕上げる事できる。 ●刷毛目やローラー模様を気にする必要が無いので、隅々まで塗布面の仕上がりが一定で、吹き付けの方が手塗りよりもきれいに仕上がる。 ●下地を選ばず(例外は除き)、手塗り以上に塗料を被せることが可能。 ●塗装するスピード自体が、手塗りよりも早いので、養生(ビニール)で覆われている日数が、場合により早くなる事もあり、お客様への負担の軽減に繋がる。 (吹付の短所) ●吹付は手塗りよりスピードは上がるけど、材料の使用量は多くなりがちです。それは、飛散で抜けていく塗料が多いというのではなく、塗布面の塗り重ねができるので、手塗りよりも塗布量も多くなってしまう事で、材料はよく使います。 逆に、吹き付けで素早く行うだけだったり、材料を希釈しまくる業者ですと、塗布量も少なく、膜厚も薄くなるので、吹き付けの方が塗膜が薄いという業者もいるが、それは施工方法が悪いだけで、全てはやり方次第と言える。 ●飛散力という意味では、基本的に手塗りよりも高くはなるので、細かい養生が必要で、それには時間が掛かり、養生テープの使用量も多くなる。因みに、どんなに近所が近くても、水性塗料であれば吹き付けができない事は無いです。但し、それには足場の良し悪しも影響してきます。 ●外部での吹付けは、塗布する素材や環境条件・使用する材料により、吹き付けだけではきれいになりにくい事があるので、ローラーの併用も必要になる事があります。よって当店では、エアレスでトップコートをスプレー吹きする際でも、ミストを消すためにも、必ずローラーも併用して使用しています。 ●細かな部分にも塗料は届くが、塗布する素地が非常に粗く、気泡が多いような壁では、塗料が入りきらない事がある。 ●機械のメンテナンスが必要になってくる。 ●弱溶剤塗料の吹付けは、環境条件が良い場合や、養生に工夫が無いと飛散の影響があるので使用しづらい。 |
手塗り工法 | 手塗りとは、いわゆるローラーと刷毛を使用する工法です。 今では、手塗りが主流という風潮があるので、手塗りができない塗装屋は存在しません。 よって刷毛とローラーさえ持てば、すぐ塗装屋として独立する者もいるくらい、スタンダードな施工と言えます。 (手塗りの長所) ●手塗りの場合は、吹付よりも養生に掛かる時間が短縮されます。 ●手塗りでも飛散はするが、吹付よりも近隣に神経を使わなくて済む。 但し、手塗りでもローラーを回転させるだけで飛散しているので、すぐの隣近所では起こる事もあり、その際は吹付けの時よりも粒が大きめで飛散する事があるので、手塗りでも配慮は必要と言えます。 ●基本的に、塗装職人であれば誰が施工しても、パッと見では施工品質の差が分かりにくい。 ●手塗りでないと、塗料が入りきらないような素地もあり、その際はローラーの使用が不可欠。 ●最近では、手塗り専用の塗料も、少なからずある。 (手塗りの短所) ●塗装仕上げの種類が、基本的にマスチックローラー仕上げのみで、表現の幅が限られてくる。また、マスチックローラー工法は、壁面に対し膜厚は一定になり易いが、その膜厚自体がタイル吹き等と比べると、厚みが付かないと言える。 ●塗料を塗る施工スピードは遅い。よって、刷毛塗りが必然的に多い現場では、養生(ビニールで窓等の非塗装面を覆う事)を貼っておく日数が長くなる事がある。 ●素地の吸い込みの少ない塗布面には、ローラーのゆず肌模様や、刷毛目が目立ち易いので、塗布面がきれいとは言いにくい。 ●ローラーや刷毛の毛は、必ず抜けるので、塗装後、塗布面にそれが目立つことがある。 ●手塗りは、素地に対しローラーを転がす事で塗布するので、下地の引っ掛かりがあまりない面では、塗料が付きにくく、下地が透ける事がある。 ●吹付のように機械のメンテナンスは不要ですが、ローラーは消耗品なので何回も取り替えが必要になります。ローラーの消耗は激しいので、当店では、一般住宅に一工程塗るだけでも、一人の職人で2回ローラーを変える事もありますし、3工程・4工程と塗るなら、ローラーの交換は何度も行う事があります。ケチる職人は多いですが、そうすれば塗料の含みは悪くなり、さらに壁面に膜厚が乗らないようになります。 ●スレート屋根などの塗装をする時には、必要以上に塗料が入り込んでしまう事があるので、それに対する対策が必要になる事がある。 |
現場的な見解
上記は、インターネット上に拡散する、一般の人にも分かり易い一方的な考え方では無く、現場で実際にどちらの工法も施工していく中での、特徴を説明しています。
どちらが優れているかどうか?を議論するのは無意味な事で、どちらの工法にも、一長一短ありますので、お互いの短所を無くすためにも、どちらも扱えるに越す事はありませんし、それでこそ塗装職人と言えます。現に、国家資格の塗装技能士の実技でも、吹付けを使う必要があるので、手塗りだけできれば良いというものではありません。
当店では、吹付けで施工する場合でも、ローラーも必ず併用しますし、逆に手塗りの現場でも、吹付の工程を入れる事もあります。お客様からご要望がある場合は、どちらの工法でも柔軟に対応していますが、適材適所で両方使える施工の方が、確実にきれいに仕上がります。